こんにちは!
北大マルシェCafé&Labo店長の宮脇(@marche_mywk)です。
2021年6月から「Miyawaki Blog」ブログ運営を始めました。
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このブログでは北大マルシェCafé&Laboに関するタイムリーな情報発信に加えて、筆者自身の得意分野や経験に基づく有益な情報の発信も行っていきたいと思います。
今回の記事は、北大マルシェCafé&Laboのシンボル「北大牛乳」の秘密に迫る記事「part2」です!
今回は歴史ある北大牛乳がどのように生産されているのか、というテーマです。
「part1」をご覧になっていない方はぜひこちらからお読みください。
北大牛乳の生産について
part1でも触れましたが、北大牛乳の生産は北海道大学の先生方や技術職員さんが担っています。
あくまで教育研究施設なので、牛乳の生産がメインというよりは包括的に研究フィールドの保全を担っていると言ったほうが正しいかもしれません。
その北大農場で繰り広げられる酪農、紐解いてみると本当に興味深い取り組みでした。
その1 200万人都市札幌のど真ん中で放牧酪農!?
皆さんは「酪農」と聞くとどのような風景をイメージするでしょうか。
それも「北海道の酪農」と聞くと、大多数の方はこのようなイメージを持つと思います。

このように牛を牧草地に放ち自由に草を食べさせ飼育する方法を「放牧酪農」と言います。
北海道の酪農は上述の通り、み〜んなこの放牧酪農をやっているんだと思われがちです。
ところが、実際に北海道で放牧酪農を営む酪農家は全体の5~10%にとどまります。
なぜそのような数字になるのでしょうか。放牧酪農のメリット・デメリットをまとめてみます。
メリット
・牛たちが自分で草を食べてくれるので、人が飼料を与えたりそれを管理したりするコストが削減できる
・飼料自体のコストが低い
・自然に近い環境で過ごすため、牛たちのストレスが少なく健康
・酪農家の労働時間を削減することができるため、人も健康
・牛の糞尿が土壌を豊かにしてくれるため、環境も健康
デメリット
・絞ることのできる牛乳の量が他の飼い方に対し少ない傾向にある
・広い土地や専門的なノウハウが必要
上記が全てではないと思いますが、このようにまとめられました。

と思いませんでしたか?
僕もそう思います。実際に放牧酪農の大きなメリットを否定できる人はいないと思います。
ではなぜこの放牧酪農を営む酪農家の割合は5~10%程度なのでしょうか。
その主たる要因は、デメリットの1つ目にある
「絞ることのできる牛乳の量が他の飼い方に対し少ない傾向にある」
これだと言われています。
得られる牛乳の量が少ない。つまり、儲からない。
かつては日本でも放牧が主流だった時代もありました。
しかし、海外から安い飼料穀物(とうもろこしなど)が入ってくるようになってからガラリと流れが変わり、
牛を牛舎の中で飼い、安く栄養価の高い輸入穀物をどんどん食べさせ、どんどん牛乳を絞らせる。
このような酪農体系が主流になっていきました。国も補助金を出してこのような酪農を推進しています。
確かに放牧よりは多くの牛乳を得て、多くの収入を得ることが可能になるかもしれません。
しかし、牛の体にも環境にも負荷をかけ、労働時間も増える酪農であることも確かです。
さて、ここで本題。北大農場ではどのような酪農を行なっているのでしょうか。
北大農場では、「夏は放牧、冬は牛舎飼い」という酪農を行なっています。
冬は雪が積もってしまい牧草を食べることができないので、牛舎飼いに移行するようですね。

と思うかもしれません。
儲ける必要がないからとまでは言えませんが、それが理由ではありません。
僕がこうまとめるのもおこがましいのですが、
「持続可能な酪農の発展」のため
というのが、北大農場が放牧酪農を行う理由だと思います。
牛たちが草を食べ、糞尿のおかげで草地が豊かになり、その草をまた牛が食べ・・・という悠久の循環が酪農の原点であり、
自然な状態で牛を牛らしく飼い、少ないコストで美味しい牛乳を生産する。というまさしく持続可能な酪農のあり方を体現してきたのが北大農場です。
日本の酪農の出発地である北大農場が放牧酪農を続ける姿は、酪農界を背中で引っ張る力強さを感じさせます。
しかもこれを200万人都市札幌のど真ん中で繰り広げているということにまた価値があると思いませんか?
北大農場の取り組み、生産される牛乳、そしてこの風景、全てが北大・札幌・北海道の宝だと思います。
その2 原点にして最先端の酪農
北大農場が日本の酪農の原点であることはこれまでに語ってきました。
140年以上の歴史のある北大農場の取り組みが、今となっては最先端の取り組みであると僕は思います。
そう考える根拠は2つあります。
- 放牧酪農に対する認識が変わってきているから
- ここが北海道大学であるから
放牧酪農以外の酪農体系には、環境負荷や生体への負荷、輸入穀物頼りの飼料、「差が出ない」品質による競争力の低下など、
持続できなくなる可能性が比較的多くあります。
持続可能性に関する議論が加速する現在、放牧酪農がもたらすメリットが再評価されてきていると感じます。
とはいえ、世論が変わってきたからたまたま評価されているというわけではなく、むしろ北大農場のような取り組みの価値がこのような議論を呼ぶようになり、
まさしくやっと時代が追いついてきたのかな、というのが僕の認識です。
そしてここが北海道大学であるから、というのは、
この最先端の酪農体系を学び、広め、これから実践していく学生たちがそこにいるからということを意味します。
このフィールドで学びこれからの酪農を作り支えていく人材がいるということは、北大農場がこれからの酪農の発展を担っているということ。
自ずと今の取り組みが最先端のものになっていきます。
北大農場で繰り広げられる酪農は、原点にして最先端と表現して良いと思っています。
part3へ続く!
さらに続きます!
ここまでで、北大牛乳の生産現場である北大農場が素晴らしい取り組みをしていることがわかったと思います。
次はいよいよ北大牛乳そのものの特徴について書いていこうと思います!
お楽しみに!